シリーズを通してモンスターハンターをプレイしているプレイヤーでこれを理解していない人は稀だと思いますが、未だに救難野良マルチでモンスターがダウンした際に頭を叩いている味方がいるにもかかわらず頭に爆弾を置くトロールプレイヤーを稀に見かけるので改めて解説します。
大タル爆弾Gさん、ダメージ低すぎィ!
大タル爆弾Gのダメージ比較
最初に大タル爆弾Gのダメージについて、MHW:IBと過去作であるMH4Gでその性能に触れておきます。
大タル爆弾G (肉質無視) |
睡眠時の 初撃ダメージ |
与ダメージ 合計 |
|
---|---|---|---|
MH4G | 150 | 3倍 | (150×3)+150=600 |
MHW:IB | 150 | 2倍 | (150×2)+150=450 |
この図は睡眠状態になったモンスターに対して大タル爆弾Gを2つ設置し、大タル爆弾Gのみのダメージが入った場合を表していますが、見てわかるようにMH4GとMHWで大タル爆弾Gのダメージは同じですが、睡眠時の初撃ダメージについては倍率は引き下げられています。
しかし、これは元のダメージが150と少ないことや、3倍が2倍になった程度で大幅にダメージが下がった訳ではない、と言えなくもないので実質的なダメージとして差は大タル爆弾G1個分しかありません。
この初撃ダメージが3倍から2倍に引き下げられたことについては大タル爆弾Gを使用する場合よりも、より一撃のダメージが大きい大剣の溜め斬りなどで大きくその価値が引き下げれたのですが、MHW前の作品には真溜めが無いのでどちらにしてもさしたる下方修正では無いと言えるでしょう。
モンスターのHP比較
本題に行く前にモンスターのHPについてもMHWと過去作であるMH4Gでその差について触れます。
リオレウス 下位 |
リオレウス 上位 |
リオレウス G級またはMR |
|
---|---|---|---|
MH4G | 2,310 | 2,940 | 5,460 |
MHW:IB | 4,908 | 6,565 | 20,800 |
それぞれ、下位・上位・G級またはMRでのHPの一覧です。
察しの良いプレイヤーであればすぐに気が付くと思いますが、MH4GのG級リオレウスのHPはMHWの下位リオレウスと同程度しかありません。
これはMHWシリーズよりも前のモンスターハンターには全体防御率というものが設定されており、肉質以外で難易度の上昇と共にプレイヤーからの与ダメージをカットする仕様があるためです。
それに対して、MHWシリーズからはダメージの数値がプレイヤーの目に見えるようになったのでそれまでモンスターに付与していたダメージカットを廃止し、純粋にモンスターのHPを増加させる方式で難易度上昇による強化が行われるようになりました。
これはプレイヤーサイドで例えるならば、
のようなイメージになります。
もう少し具体的に例に挙げてみます。
与ダメージの例
ダメージの部分はざっくりな値を入れていますが、基礎攻撃力に置き換えてもらった方がパターン毎の近似値が出ると思います。
(他与ダメージスキルとの兼ね合いもあるのであまり数値をリアルにする意味はありませんが)
MH4G
下位リオレウス(HP:2,310、全体防御率100)に対してハンターが1つのアクションで100(下位の武器)の与ダメージがある場合、
2310 / (100 * 1.0) = 23.1
となるので、24回の攻撃で討伐が可能になる計算。
上位リオレウス(HP:2,940、全体防御率80)に対してハンターが1つのアクションで100(下位の武器)の与ダメージがある場合、
2940 / (100 * 0.8 ) = 36.75
となるので、37回の攻撃で討伐が可能になる計算ですがこれでは下位と比較して1.5倍程度多く攻撃しなければ討伐出来ないことになり大幅に難易度が上昇してしまいます。
(類似のケースは下位最終装備で上位序盤モンスターと戦った場合に発生する)
これは下位から上位になり全体防御率の80(モンスターに対して本来の80%しかダメージが通らない)となっており、下位の武器で上位のモンスターを相手にするには与ダメージが大きく減少し討伐が難しくなるのですが、ここでハンターは新たに上位で武器を新調を行い上位の武器を使い与ダメージを上げて挑む状態を作ったとします。
上位リオレウス(HP:2,940、全体防御率80)に対してハンターが1つのアクションで150(上位の武器)の与ダメージがある場合、
2940 / ( 150 * 0.8 ) = 24.5
こうなると25回の攻撃で討伐出来るようになるので、武器を新調しそのランクにあったものを装備することで下位も上位も相応の装備をすることで難易度として大きく変わることが無いように調整されています。
MHW:IB
下位リオレウス(HP:4,908、全体防御率100)に対してハンターが1つのアクションで200(下位の武器)の与ダメージがある場合、
4908 / ( 200 * 1.0 ) = 24.54
となるので、25回の攻撃で討伐が可能になる計算。
上位リオレウス(HP:6,565、全体防御率100)に対してハンターが1つのアクションで200(下位の武器)の与ダメージがある場合、
6565 / ( 200 * 1.0 ) = 32.82
となるので、33回の攻撃で討伐が可能になる計算。
これは全体防御率に大きな修正が加わっていないのでMHP3rd程ではありませんが、上位モンスターに下位装備で挑むと攻撃回数が大幅に増加していることがわかります。
上位リオレウス(HP:6,565、全体防御率100)に対してハンターが1つのアクションで300(上位の武器)の与ダメージがある場合、
6565 / ( 300 * 1.0 ) = 21.88
となるので、22回の攻撃で討伐が可能になる計算。
このように、MHW:IBではモンスターの全体防御率を一律100に固定し与ダメージを引き上げる(上げやすい環境にする)ことで難易度に見合う武器を使用した場合のプレイ感に大きな差を生み出さないように調整されています。
一覧
このイメージをもう1度一覧で表してみます。
太字の箇所が難易度に対して適正武器で挑んだ場合。
MH4G | HP | 与ダメージ 100 |
与ダメージ 150 |
与ダメージ 300 |
---|---|---|---|---|
リオレウス 下位 全体防御率100 |
2,310 | 24 | 16 | 8 |
リオレウス 上位 全体防御率80 |
2,940 | 37 | 25 | 13 |
*リオレウス G級またはMR 全体防御率60 |
5,460 | 91 | 61 | 31 |
MHW:IB | HP | 与ダメージ 200 |
与ダメージ 300 |
与ダメージ 600 |
リオレウス 下位 全体防御率100 |
4,908 | 25 | 17 | 9 |
リオレウス 上位 全体防御率100 |
6,565 | 33 | 22 | 11 |
*リオレウス G級またはMR 全体防御率100 |
20,800 | 104 | 70 | 35 |
このようになります。
MH4GとMHW:IBでダメージの基本値こそ異なるものの上昇割合はどちらも同一(下位から上位では1.5倍、上位からG級相当では2倍)ですがMHW:IBは過去作と比較して、
- 乗算系スキルの増加
- スキルの限界突破
- モーション値の高い技の追加
- スキルそのものが発動させやすい
などで火力を上げやすい環境となっているのでその分モンスターの基礎HPも比例して高く(例に上げたリオレウスは下位の時点でMH4GとMHW:IBで約2倍のHP差)なっています。
(とは言え、上位のHP倍率に関しては引き上げ率が相当に緩いなという印象)
やっと本題(大タル爆弾Gのダメージについて)
ここまでの説明でわからない人は居ないとは思いますが、過去作のモンスターハンターで睡眠大タル爆弾Gが有効だったのは「モンスターの体力が低く、高い全体防御率が設定されていてハンターの物理ダメージが通り辛かった」からであり、
MH4G:
下位リオレウス(HP2,310)に対して
睡眠大タル爆弾Gで肉質と全体防御率無視で固定600ダメージを与える
(総HPの約26%)
下位リオレウス(HP2,940)に対して
睡眠大タル爆弾Gで肉質と全体防御率無視で固定600ダメージを与える
(総HPの約20%)
G級リオレウス(HP5,460)に対して
睡眠大タル爆弾Gで肉質と全体防御率無視で固定600ダメージを与える
(総HPの約11%)
MHW:IB:
下位リオレウス(HP4,908)に対して
睡眠大タル爆弾Gで肉質と全体防御率無視で固定400ダメージを与える
(総HPの約8%)
上位リオレウス(HP6,565)に対して
睡眠大タル爆弾Gで肉質と全体防御率無視で固定400ダメージを与える
(総HPの約6%)
MRリオレウス(HP20,800)に対して
睡眠大タル爆弾Gで肉質と全体防御率無視で固定400ダメージを与える
(総HPの約2%)
このように全体防御率が高く設定されているシリーズでかつ低難易度ほど効果が高かったのが大タル爆弾Gの性質であり、結果として睡眠状態のモンスターに対して大タル爆弾Gを置くのが暗黙の了解になっていたのです。
この結果を踏まえ、全体防御率が100で固定されモンスターのHPが引き上げられたMHWシリーズ以降は睡眠大タル爆弾Gの価値がどれだけ下がったのかは言うまでもないと思います。
(この理由以外にも寝ると壁ドン出来ることもあって更に価値が低下していますが、壁ドンとタルを同時にHITさせられる環境にあるのなら多少は有用)
今回比較を行ったのは睡眠大タル爆弾Gですが、同じことは大タル爆弾G以外の「肉質無視の固定ダメージ」についても言えることなので、徹甲(徹甲のダメージ部分)やガンランスの砲撃も過去作と比較してMHWではその価値は劇的に下がりました。
(徹甲はスタン値の補填がありますが、ガンランスについては補填という補填が砲術スキルに破壊王と別途ひるみ値が乗る程度しか無い状態)